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振動 / 2級 · 図解公式集

振動2級の重要公式12選

計算力学技術者試験の振動2級から、図があり具体例で確かめられる公式を12個選びました。各章からまんべんなく選んでいるので、全体像をつかむ入口にも使えます。

公式 1 · 第1章 計算力学のための数学の基礎

座標系の回転変換

座標系の回転変換を説明する図
$\begin{bmatrix}x\prime\\y\prime\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{bmatrix}\begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}$

点そのものは動かさず、座標軸だけを時計回りに $\theta$ 回します。同じ点を新しい軸へ投影すると $x'=x\cos\theta-y\sin\theta$、$y'=x\sin\theta+y\cos\theta$ になります。点を反時計回りに回す場合と式は同じ形ですが、ここで回すのは軸です。例えば元の点が $(1,0)$、軸を時計回りに $90^\circ$ 回すと新しい座標は $(0,1)$ です。回転行列は $[R]^T[R]=[I]$ を満たし、長さを保ちます。

具体例

$\theta=0$ のとき回転行列は単位行列となり、座標は変わりません。

公式 2 · 第2章 動力学の基礎

中心力と角運動量保存

中心力と角運動量保存を説明する図
$\vec{L}=\vec{r}\times m\vec{v}$ $\vec{L}=\text{const.}$

角運動量は「回転の勢い」を表す量で、運動量のモーメント、すなわち回転中心から作用点までの腕ベクトル $\vec{r}$ と運動量 $m\vec{v}$ の外積 $\vec{L}=\vec{r}\times m\vec{v}$ です。大きさは(腕の長さ)×(運動量のうち腕に垂直な成分)になります。つねに回転中心の向きを指す力を中心力(向心力・求心力)といいます。中心力は作用線が中心を通るので、中心まわりのモーメント(腕×力)が $0$ です。モーメントは角運動量の時間変化率なので、モーメントが $0$ なら角運動量は変化せず保存されます:$\vec{L}=$ 一定です。一方、運動量 $m\vec{v}$ は力を受けて変化するので保存しません(大きさが同じでも向きが回ります)。フィギュアスケーターが回転中に腕を縮めると(腕の長さが減る)、角運動量を保つために回転が速くなる、のが保存の典型です。

具体例

糸につないで円運動させた質点は、糸(中心力)がモーメントを生まないので角運動量が保存されます。

公式 3 · 第3章 材料力学の基礎

縦ひずみと横ひずみ(ひずみの定義)

縦ひずみと横ひずみ(ひずみの定義)を説明する図
$\varepsilon=\dfrac{L_1-L_0}{L_0}$ $\varepsilon'=\dfrac{D_1-D_0}{D_0}$

ひずみは「変形の割合」を表す無次元量(単位なし)です。長さの差そのものではなく、元の寸法に対する比で表すのがポイントです。棒を軸方向に引っ張って、元の長さ $L_0$ が $L_1$ に伸びたら、縦(軸)ひずみは $\varepsilon=(L_1-L_0)/L_0$ です。同時に太さは細くなり、元の直径 $D_0$ が $D_1$ になった割合 $\varepsilon'=(D_1-D_0)/D_0$ を横ひずみといいます。引張では縦ひずみは正(プラス)、横ひずみは負(マイナス)になります。なぜ比で測るのかというと——$1\,\mathrm{m}$ の棒が $1\,\mathrm{mm}$ 伸びるのと、$1\,\mathrm{mm}$ の薄片が $1\,\mathrm{mm}$ 伸びるのでは“変形のきつさ”がまるで違うからです。元の長さで割ることで、長さに関係なく変形のきつさを同じ物差しで比べられます。変形が場所ごとに違うときは、微小区間 $dx$ の伸び $du$ を使って $\varepsilon=du/dx$(変位の変化率)と局所的に定義します。全体が一様に伸びるときはこれが $(L_1-L_0)/L_0$ に一致します。

具体例

元の長さ $100\,\mathrm{mm}$ の棒が $100.2\,\mathrm{mm}$ に伸びると縦ひずみは $\varepsilon=0.2/100=0.002$(=0.2%)となります。

公式 4 · 第4章 振動工学および音響工学の基礎

棒の軸方向の等価ばね定数

棒の軸方向の等価ばね定数を説明する図
$k=\dfrac{AE}{l}$

長さ $l$、断面積 $A$、ヤング率 $E$ の一様な棒を軸方向に押し引きすると、まるで1本のばねのようにふるまいます。その「硬さ」をばね定数 $k$ で表したのがこの式です。導き方は材料力学の基本をつなぐだけです。フックの法則から応力は $\sigma=E\varepsilon$、ひずみは伸び $x$ を元の長さで割った $\varepsilon=x/l$、力は $F=A\sigma$ です。これらを代入すると $F=AE\dfrac{x}{l}=\dfrac{AE}{l}x$ となり、$F=kx$ と見比べて $k=AE/l$ が出ます。式の形は直感どおりで、太い($A$ 大)・短い($l$ 小)・硬い材料($E$ 大)ほど $k$ は大きく、変形しにくくなります。単位も $[\mathrm{m^2}][\mathrm{Pa}]/[\mathrm{m}]=[\mathrm{N/m}]$ とばね定数に一致します。振動問題では、まず構造をこの式で等価ばねに置き換えてから固有振動数を求めるのが定石です。

具体例

$A=1\times10^{-4}\,\mathrm{m^2}$、$E=200\,\mathrm{GPa}$、$l=1\,\mathrm{m}$ なら $k=\dfrac{1\times10^{-4}\times200\times10^{9}}{1}=2\times10^{7}\,\mathrm{N/m}$ となります。

公式 5 · 第5章 有限要素法の基礎

全ポテンシャルエネルギーと停留条件

全ポテンシャルエネルギーと停留条件を説明する図
$\Pi=\dfrac{1}{2}ku^2-fu$ $\dfrac{d\Pi}{du}=ku-f=0\ \Rightarrow\ ku=f$

ばね1本に荷重 $f$ を加えた系で考えます。全ポテンシャルエネルギー $\Pi$ は、ばねにたくわえられる弾性エネルギー $\tfrac{1}{2}ku^2$ から、外力がした仕事 $fu$ を引いたもので、$\Pi=\tfrac{1}{2}ku^2-fu$ となります。この線形ばねの安定な釣合いはエネルギーが最小になる位置なので、つり合い点では $\Pi$ が極小(停留)になるはずです。そこで $\Pi$ を変位 $u$ で微分して0とおくと、$d\Pi/du=ku-f=0$、すなわち力のつり合い式 $ku=f$ が出てきます。『エネルギーを停留させる点=力の釣り合い点』というこの考え方が、変分法とFEMの出発点になります。FEMでは変位 $u$ を多数の節点変位に置きかえ、同じ手続きで全体の剛性方程式 $[K]\{u\}=\{F\}$ を導きます。

具体例

$k=800\,\mathrm{N/m}$、$f=40\,\mathrm{N}$ なら $u=f/k=0.05\,\mathrm{m}$ です。ばねのエネルギーは $800\times0.05^2/2=1.0\,\mathrm{J}$、外力の仕事は $40\times0.05=2.0\,\mathrm{J}$ です。差を取ると $\Pi=1.0-2.0=-1.0\,\mathrm{J}$ になります。

公式 6 · 第6章 要素の選択・メッシング

ひずみ-変位行列と定ひずみ要素(CST)

ひずみ-変位行列と定ひずみ要素(CST)を説明する図
$\{\varepsilon\}=[B]\{u_e\}$

要素内の任意点のひずみ $\{\varepsilon\}$ を、節点変位 $\{u_e\}$ から求める関係式です。変位は形状関数で $\{u\}=[N]\{u_e\}$ と内挿されるので、ひずみは変位を微分したもの——すなわち $[B]$ は形状関数 $[N]$ を微分して作った行列で、ひずみ–変位行列と呼びます。ここで大事なのは『まず変位を内挿し、ひずみ・応力はその微分から二次的に得る』という順番です。3節点三角形要素は形状関数が座標の1次関数なので、微分した $[B]$ の成分はすべて定数になり、要素内のひずみは場所によらず一定——これを定ひずみ要素(CST)と呼びます。一様な線形弾性材料で初期ひずみがなければ、応力も要素内で一定になります。したがって応力が急に変わる応力集中部をCSTで表すには、要素を細かく分けて“階段”を細かくするしかありません。

具体例

定ひずみ要素では、応力集中部を表すには要素を細かく分ける(メッシュを密にする)必要があります。

公式 7 · 第7章 モデリングの基礎

レイリー減衰(比例粘性減衰)

レイリー減衰(比例粘性減衰)を説明する図
$[C]=\alpha[M]+\beta[K]$

有限要素法では、質量行列 $[M]$ と剛性行列 $[K]$ は計算の途中で必ず手に入ります。ところが減衰行列 $[C]$ は、減衰のしくみが複雑で理論から直接は求めにくいものです。そこで、すでにある $[M]$ と $[K]$ の重み付きの足し算で $[C]=\alpha[M]+\beta[K]$ と近似するのがレイリー減衰(比例粘性減衰)です。$\alpha,\beta$ は実数の係数で、実測した減衰(たとえば1次・2次モードの減衰比)に合うように逆算して決めます。$\alpha[M]$ は低い振動数側に、$\beta[K]$ は高い振動数側に主に効くので、2つの係数で減衰の周波数特性を調整できます。この形の最大の利点は、$[C]$ についてもモードの直交性が保たれることです。おかげで減衰があっても運動方程式をモードごとの独立な式に分解でき、モード解析の枠組みがそのまま使えます。理論的な根拠は希薄ですが実現象を比較的よく表現でき、FEM振動解析で最も広く用いられます。

具体例

実測した1次・2次モードの減衰比から $\alpha,\beta$ を逆算し、モデル全体の減衰を設定するのが典型的な使い方です。

公式 8 · 第8章 境界条件および荷重条件

分布圧力→等価節点荷重(四角形・三角形1次要素)

分布圧力→等価節点荷重(四角形・三角形1次要素)を説明する図
$F=\dfrac{P\,A}{4}$ $F=\dfrac{P\,A}{3}$

変位法のFEMでは、計算する荷重を節点自由度に対応させます。そのため面にかかる圧力のような分布荷重は、必ず各節点にかかる集中力(等価節点荷重)に置き換えてから与えます。まず、面に一様な圧力 $P$〔Pa=N/m²〕がかかるなら、面積 $A$ を掛けて全体の力 $P\times A$〔N〕になります。長方形の4節点1次要素では、この力を4つの節点が均等に分担するので1節点あたり $F=PA/4$ です。三角形1次要素なら3節点で分けて $F=PA/3$(その要素ぶん)です。ただし複数の要素が1つの節点を共有している場合、その共有節点は隣の要素からの分担も合計して受け持つ点に注意します。つまり同じ全荷重でも、要素の種類(四角形か三角形か)や分割の仕方で、各節点の値は変わります。

具体例

一辺1.5 mの正方形を対角線で二等分すると、各三角形の面積は $1.125\,\mathrm{m^2}$ です。単独節点へは $0.375p\,\mathrm{N}$、共有節点へは二要素分の $0.75p\,\mathrm{N}$ が集まります(問8-2)。

公式 9 · 第9章 数値計算法の基礎

連立1次方程式の行列表現

連立1次方程式の行列表現を説明する図
$[A]\{x\}=\{b\}$

いくつもの1次方程式をまとめて1本で書く道具です。未知数 $x,y,z,\dots$ とその係数が並ぶ連立方程式は、係数だけを長方形に並べた係数行列 $[A]$、未知数を縦一列に並べた $\{x\}$、右辺の定数を縦に並べた $\{b\}$ を使うと $[A]\{x\}=\{b\}$ とたった1本で表せます。並べ方は簡単で、1本目の式の係数をそのまま $[A]$ の1行目へ、2本目を2行目へ…と上から書き写すだけです。$[A]\{x\}$ は『行列とベクトルの掛け算』で、$[A]$ の各行と $\{x\}$ を掛けて足すと元の各式の左辺に戻ります——これが行列表現の正しさの確かめ方になります。有限要素法では『剛性行列 $[K]$ × 変位 $\{u\}$ = 荷重 $\{f\}$』、つまり $[K]\{u\}=\{f\}$ がこの形そのもので、構造解析はまずこの連立方程式を解くことに行き着きます。だからこの式が数値計算法すべての出発点になります。

具体例

$4x+5y+6z=7$ のような3元連立方程式は、係数を並べた $[A]$ と $\{x\}=\{x,y,z\}^{T}$、右辺 $\{b\}$ の組で $[A]\{x\}=\{b\}$ と表せます(問9-1)。

公式 10 · 第10章 ポスト処理の基礎

固有振動数の式と剛性・質量の影響

固有振動数の式と剛性・質量の影響を説明する図
$f=\dfrac{1}{2\pi}\sqrt{\dfrac{k}{m}}$

1自由度のばね・質量系が自然に揺れる速さ(固有振動数)を表す基本式です。$k$ はばね定数(剛性)、$m$ は質量です。式の中で $k$ は分子のルートの中、$m$ は分母にあるので、読み方はシンプル: 剛性 $k$ を大きくすると固有振動数は高くなり、質量 $m$ を重くすると低くなります。しかもルートなので効き方は平方根——$k$ を4倍にしても $\sqrt{4}=2$ で振動数は2倍まで、$m$ を4倍にすると $1/\sqrt{4}=1/2$ になります。だから固有振動数を上げたいなら、揺れに効く部位の剛性を増す(板を厚くする・リブを付ける)か、余分な質量を減らします。下げたいなら逆です。ここで大事なのは『どこを変えるか』で、変位が小さくても曲げ変形が大きい部位は、剛性対策に効くことがあります。質量には運動エネルギー、剛性にはひずみエネルギーを見て場所を選ぶのが効果的で、その狙いどころを教えてくれるのが次に学ぶエネルギー密度になります。

具体例

$k$ を4倍にすると固有振動数は2倍、$m$ を4倍にすると $1/2$ になります。揺れに効く部位を狙って変えるのがコツです(問10-2)。

公式 11 · 第11章 結果検証の基礎

伝達関数(周波数応答関数)の定義

伝達関数(周波数応答関数)の定義を説明する図
$H(\omega)=\dfrac{X(\omega)}{F(\omega)}$

入力(外力)と応答の比や位相差の関係を、周波数ごとに表したものが伝達関数(周波数応答関数, FRF)です。実測データは時間の波形なので、まず入力と応答をそれぞれFFTで周波数領域に移し、応答のFFTを $X(\omega)$、入力(加振力)のFFTを $F(\omega)$ として $H(\omega)=X(\omega)/F(\omega)$ のように応答/入力の比をとって求めます。周波数ごとに『この周波数で揺すったらどれだけ応答するか』を表した地図、とイメージすると分かりやすいでしょう。応答として何を選ぶかで呼び名が変わり、加速度/力をアクセレランス、速度/力をモビリティ、変位/力をコンプライアンスといいます。解析で計算したFRFと実測のFRFを重ねて比べることが、この章の検証の中心になります。小減衰で孤立したモードの山(ピーク)は、その固有振動数の近く、山の高さが揺れやすさの目安です。

具体例

加振力と応答を同時に測ってそれぞれFFTし、応答/力の比をとると、周波数ごとの伝達関数が求まります。

公式 12 · 第12章 コンピューターの基礎

整数演算の切り捨て誤差

整数演算の切り捨て誤差を説明する図
$1\div2\longrightarrow0$

整数型どうしの割り算では、商の小数点以下が切り捨てられ、整数部分だけが残ります。これが切り捨て誤差です。たとえば $1\div 2$ は $0.5$ ではなく $0$ になります。表現範囲を超えない整数の足し算・引き算・掛け算は正確ですが、割り算だけはこの切り捨てが起こる点に注意します。式の中では優先順位『かっこ→乗除→加減』に従って計算が進み、整数除算の切り捨てはそのつど行われるので、途中で生じた $0$ が後の計算に効いてきます。小数まできちんと扱いたいときは、計算の前に値を実数型へ変換してから割ります。見つけにくいバグの原因になりやすいので、『整数のまま割ると情報が落ちる』と意識しておくことが大切です。本章の除算例は正の数です。負の商についての丸め方向は言語等の規則を確認し、小数部を捨てる操作と床関数を混同しません。

具体例

$1+(1\div2-1)\times2+1\div2$ を整数演算で計算すると、$1\div2=0$、$(0-1)=-1$、$\times2=-2$、末尾の $1\div2=0$ なので、$1+(-2)+0=-1$ になります。

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