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熱流体力学 / 2級 · 図解公式集

熱流体力学2級の重要公式12選

計算力学技術者試験の熱流体力学2級から、図があり具体例で確かめられる公式を12個選びました。各章からまんべんなく選んでいるので、全体像をつかむ入口にも使えます。

公式 1 · 第1章 計算力学のための数学の基礎

移流方程式(双曲型)

移流方程式(双曲型)を説明する図
$\dfrac{\partial f}{\partial t}+c\dfrac{\partial f}{\partial x}=0$

移流方程式 $\partial f/\partial t+c\,\partial f/\partial x=0$ の一般解は $f(x,t)=f(x-ct,0)$ で、初期分布が形を保ったまま正の一定速度 $c$ で $+x$ 方向へ平行移動します(双曲型の性質)。頂点は $x-ct=1$ を満たす位置 $x=1+ct$ へ動くので、$x=1+2\times3=7\,\mathrm{m}$ となり、振幅も形も変わりません。移流(対流)は分布を運ぶだけで、なまし(平滑化)や増幅は起こしません。運ぶ速さ $c$ と向き(符号)が本質です。

具体例

問1-1の解説と図で確認できます。

公式 2 · 第1章 計算力学のための数学の基礎

拡散方程式(放物型)と拡散流束

拡散方程式(放物型)と拡散流束を説明する図
$\dfrac{\partial f}{\partial t}=A\dfrac{\partial^2f}{\partial x^2},\quad A>0$

拡散は、高温部から周囲の低温部へ熱が移り、温度差が小さくなる現象です。この方程式は放物型で、山の頂付近では温度が下がり、周囲では上がります。両端が断熱なので、外との熱の出入りはありません。内部発熱もないため全体の熱量は一定で、中央の熱が周囲へ広がって山は低くなります。棒を $0\le x\le L$ とすると、$\dfrac{d}{dt}\int_0^L f\,dx=A\{f_x(L,t)-f_x(0,t)\}=0$ です。$f_x$ は温度の傾きで、断熱端では0です。一様な棒では、この積分に一定の体積熱容量と断面積を掛けた量が熱量です。一定の拡散係数なら、拡散流束 $q=-A\partial f/\partial x$ と収支 $\partial f/\partial t=-\partial q/\partial x$ からも式が得られます。温度の場合、実際の熱流束は熱伝導率を掛けて表し、拡散係数と区別します。

具体例

問1-2の解説と図で確認できます。

公式 3 · 第1章 計算力学のための数学の基礎

ベクトルの外積

ベクトルの外積を説明する図
$\boldsymbol{u}\times\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix}u_2v_3-u_3v_2\\u_3v_1-u_1v_3\\u_1v_2-u_2v_1\end{pmatrix}$

外積は $\boldsymbol{u}\times\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix}u_2v_3-u_3v_2\\u_3v_1-u_1v_3\\u_1v_2-u_2v_1\end{pmatrix}$ で、大きさは2ベクトルが作る平行四辺形の面積、向きは右ねじの進む向きです。外積は順序を入れ替えると符号が反転する反交換 $\boldsymbol{u}\times\boldsymbol{v}=-\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{u}$ なので、交換則 $\boldsymbol{u}\times\boldsymbol{v}=\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{u}$ とした記述が誤りです。正解(誤っている記述)は選択肢3です。外積に交換則は成り立ちません。交換則が成り立つ内積との違いが要点です。

具体例

問1-5の解説と図で確認できます。

公式 4 · 第2章 流体力学の基礎

相対的静止(自由表面の傾き)

相対的静止(自由表面の傾き)を説明する図
$\tan|\beta|=\dfrac{a\cos\theta}{g+a\sin\theta}$

容器とともに動く視点では、液体に重力と加速度と逆向きの慣性力が働きます。自由表面はそれらの合力に垂直です。斜面角 $\theta$ に沿って右上へ加速する場合、単位質量あたりの左向き成分が $a\cos\theta$、下向き成分が $g+a\sin\theta$ です。これらの比から水平面に対する水面の傾きを求めます。容器から見て静止している状態を相対的静止といいます。

具体例

本問は $\theta=20^\circ$、$a=g/3$ なので、水平面からの水面の傾きは約 $15.7^\circ$ です。右上へ加速すると右側が低くなります。水平加速は $\theta=0$ なので $\tan|\beta|=a/g$ です。

公式 5 · 第2章 流体力学の基礎

ランキン渦・渦度と循環

ランキン渦・渦度と循環を説明する図
$0<r\le a:\ v=r\omega,\qquad r>a:\ v=\dfrac{a^2\omega}{r}$

コア部は同じ角速度 $\omega$ で回る強制渦です。外側ほど円周が長いため $v=r\omega$ と速くなります。コアの外は自由渦で $v=a^2\omega/r$ と遅くなり、$r=a$ でつながって速度が最大になります。コア外は局所的な渦度が0ですが、中心を囲む循環 $\Gamma=2\pi a^2\omega$ は0ではありません。

具体例

コア境界$r=a$で速度$v=a\omega$が最大。渦度は強制渦の内部にのみあり、自由渦は渦度0でも循環$\Gamma=2\pi\omega a^2$は残ります(問2-5)。

公式 6 · 第2章 流体力学の基礎

ベルヌーイの定理・動圧・ピトー管

ベルヌーイの定理・動圧・ピトー管を説明する図
$p+\dfrac{1}{2}\rho V^2+\rho g z=\mathrm{const.}$

定常・非圧縮で損失を無視すると、1本の流線に沿って静圧 $p$、動圧 $\rho V^2/2$、高さに対応する $\rho gz$ の和が一定です。全圧は静圧と動圧の和で、高さの項は別です。同じ高さなら速い所ほど静圧が下がります。ピトー管は先端で流れを止めた圧力と側面の静圧との差から速度を求めます。ベンチュリー管では連続の式で断面ごとの速度を結び、ベルヌーイの式へ代入して圧力差から速度を求めます。

具体例

縮小拡大管では絞り部bが最速で静圧最小、液柱は$H_a=H_c>H_b$。ピトー管では$p_B-p_C=\tfrac12\rho U^2$、ベンチュリー管では$U=\sqrt{\dfrac{2A_b^2}{A_a^2-A_b^2}\cdot\dfrac{p_a-p_b}{\rho}}$です(問2-6・2-12・2-14)。

公式 7 · 第3章 熱力学・伝熱学の基礎

熱力学の第1法則(エネルギー保存)

熱力学の第1法則(エネルギー保存)を説明する図
$Q=W+\Delta U$

閉じた系に入った熱は、外部への仕事と内部エネルギーの増加に分かれます。系が外部にする仕事を正、入る熱を正とする約束です。全体の量を保存する法則で、自然に変化する向きを決める法則とは区別します。

具体例

100Jを加え、40Jの仕事をすると、内部エネルギーは60J増えます。

公式 8 · 第3章 熱力学・伝熱学の基礎

熱力学の第2法則(と第0・第3法則)

熱力学の第2法則(と第0・第3法則)を説明する図
$\Delta S=\dfrac{Q}{T}+S_{\mathrm{gen}},\quad S_{\mathrm{gen}}\ge0$

温度T一定の境界から閉じた系へ熱Qが入るとき、エントロピー変化は熱による分Q/Tと内部で生成される分の和です。可逆なら生成分0、不可逆なら正です。Tは絶対温度です。孤立系はQ=0なのでエントロピーが減りません。第0法則は熱平衡の関係、第1法則はエネルギー保存、第3法則は絶対零度に近づくときのエントロピーの極限に関する法則です。

具体例

可逆で $\Delta S=Q/T$、不可逆で $\Delta S>Q/T$ です。

公式 9 · 第4章 数値計算法

ラプラス方程式の5点配置

ラプラス方程式の5点配置を説明する図
$\phi_P=\dfrac{\phi_E+\phi_W+\phi_N+\phi_S}{4}$

左右と上下の二階中心差分を足すと、中央の係数−2が2組で−4になります。格子幅が両方向で等しい場合、中央は上下左右4点の平均です。右辺がfのポアソン方程式では、隣接4点の和から4φPを引いたものが $h^2f_P$ になります。

具体例

左40・右120・上60・下20なら中央60です。これはラプラス方程式の例で、湧き出し項がある場合はその分も入れます。

公式 10 · 第4章 数値計算法

対流項:点の組合せで差分法を区別

対流項:点の組合せで差分法を区別を説明する図
$u\phi\prime(x_i)\approx u\dfrac{\phi_i-\phi_{i-1}}{h},\quad u>0$

風上は流れが来る側で、u>0なら左です。1次風上は現在と左隣、2次中心は左右対称の点を使います。2次風上は現在と上流2点を使います。QUICKは上流寄りの補間で界面値を作り、界面の流束の差を評価します。4-5の係数表と分母で見分けます。負の速度では上流が右へ変わります。

具体例

QUICKの「3次」という呼称は界面の補間精度に関係します。流束差を点での微分と解釈した場合の誤差次数と、条件なしに同一視しません。

公式 11 · 第5章 格子生成法

境界層格子の等比拡大と最小格子幅

境界層格子の等比拡大と最小格子幅を説明する図
$\Delta_n=\Delta_1r^{n-1}$

壁の近くは細かく、外へ徐々に格子幅を広げます。第1層から第n層までrを掛ける回数はn−1回です。隣接比1.5以下は滑らかさの目安であり、精度を保証する一律の上限ではありません。同じ長さで比べる層流平板の境界層は $\delta/L\propto Re^{-1/2}$ なので、Reが大きいほど壁近くに細かい格子が必要です。

具体例

第1層0.2mm、r=1.25なら、次は0.25mm、第3層は0.3125mmです。境界層厚さや使用する解析モデルに合わせて点を配置します。

公式 12 · 第5章 格子生成法

境界適合格子とヤコビアン(座標変換)

境界適合格子とヤコビアン(座標変換)を説明する図
$J=x_\xi y_\eta-x_\eta y_\xi$

物理空間は実際の形を表す場所、計算空間は同じ格子点に規則的な番号を付けて扱う場所です。物体に沿う曲がった格子を、扱いやすい長方形へ対応させます。 ヤコビアンは局所的な面積・体積の伸縮と向きです。通常の向きにそろえた格子では正を要求し、0はつぶれを示します。負の値は番号付けや座標軸の反転も確認します。局所的に0でないことだけで領域全体の重なりがないとは保証できないため、全体の一対一対応も必要です。

具体例

$x=2\xi,y=3\eta$ なら $J=6$ です。計算空間の単位面積が物理空間の面積6へ対応します。逆向きの変換を定義する場合は、逆のヤコビアンとなります。

本ページはsafaによる独立した解説で、アプリ「CAE試験対策」の用語・公式・図を使用しています。日本機械学会による監修・公認を示すものではありません。