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熱流体力学 / 2級 · 図解用語集

熱流体力学2級の重要用語12選

計算力学技術者試験の熱流体力学2級から、図があり具体例で確かめられる用語を12個選びました。各章からまんべんなく選んでいるので、全体像をつかむ入口にも使えます。

用語 1 · 第1章 計算力学のための数学の基礎

2階PDEの型分類と初期・境界条件

2階PDEの型分類と初期・境界条件を説明する図

拡散方程式は放物型です。温度の変化を求めるには、「最初にどの場所が何度か」と「両端をどう扱うか」を決めます。最初の温度分布 $f(x,0)$ が初期条件です。端を一定温度にする、または断熱する、などが境界条件です。この有限長の棒では両方を与えるので、初期条件は時間の出発点、境界条件は空間の端での約束です。同じ初期温度でも、端を冷やす場合と断熱する場合では、その後の温度が異なります。

具体例

問1-3の解説と図で確認できます。

用語 2 · 第2章 流体力学の基礎

揚力と抗力(相対速度基準)

揚力と抗力(相対速度基準)を説明する図

流体に対する物体の相対速度は $\boldsymbol V-\boldsymbol U$ です。抗力はこの相対運動を妨げる逆向き、揚力はそれに直交する成分です。物体から見た流体の速度 $\boldsymbol U-\boldsymbol V$ とは符号が逆です。揚力は鉛直上向きという意味ではありません。

具体例

一様流$U$の中を速度$V$で動く物体では、相対速度$V-U$に逆向きが抗力、直交向きが揚力です。進行速度を基準にすると静止物体の抗力を説明できません(問2-10)。

用語 3 · 第2章 流体力学の基礎

流線・流跡線・流脈線

流線・流跡線・流脈線を説明する図

流れの可視化で得られる線には3種類あります。流線は、ある瞬間に各点の速度ベクトルに接するように引いた線で、その瞬間の流れの向きを表します。流跡線は、1個の流体粒子が時間をかけて通った軌跡で、長時間露出で1個の粒子を写した線にあたります。流脈線は、ある決まった一点を次々に通過した粒子の連なりで、1点から染料を連続して流し続けたときに見える線です。定常流(時間的に変化しない流れ)では、この3本は完全に一致します。しかし非定常流では一致しません。とくに流脈線は、線の上のすべての粒子が同時に存在しているため、流れの向きが変わると線全体が一斉に動くのが特徴です。たとえば途中で速度の向きが変わる2次元流では、注入点から連続放出した染料がつくる折れ曲がった線が流脈線になります。3本の違いを問う問題では、まず定常か非定常かを確かめるのが要点です。図: 定常流で一致し非定常流で分かれる、流線・流跡線・流脈線。

具体例

定常流では流線=流跡線=流脈線。非定常流では別々になり、注入点から連続放出した染料の線が流脈線です(問2-18・2-22)。

用語 4 · 第4章 数値計算法

数値粘性と観測する座標系

数値粘性と観測する座標系を説明する図
$\nu_{\mathrm{num}}=\dfrac{|u|h}{2}$

この式は一定速度の移流で、1次風上を空間だけ離散化したときの主要な数値拡散係数です。実際の流体粘性と違い、格子幅と格子に対する速度に依存します。各座標系で同じ幅の固定格子を置いても、相対速度が変われば係数が変わります。これが4-13で問うガリレイ不変性の注意点です。中心差分の主要な空間誤差は位相・波形のずれで、一律に負の粘性と呼びません。

具体例

時間積分まで離散化すると誤差も変わります。安定性は空間差分だけで決めません。N次精度は、滑らかな解の打ち切り誤差が $O(h^N)$ となる意味です。

用語 5 · 第4章 数値計算法

離散化:連続した分布を有限個の未知量へ

離散化:連続した分布を有限個の未知量へを説明する図

有限差分法は微分を離れた点の値の差で近似します。有限体積法は小さな検査体積への流入と流出を計算し、共有面の流束を隣り合う体積で逆符号にして保存則を組み立てます。有限要素法は要素内の近似関数と重み付き積分から式を作ります。スペクトル法は波などの基底の係数で分布を表します。低次の式が一致する場合もありますが、式の組立て方を区別します。

具体例

有限体積法では、ある体積から出た量が隣の体積に入るため、内部の共有面の流束は全体の和で相殺します。

用語 6 · 第4章 数値計算法

陽解法と陰解法:安定性と精度は別

陽解法と陰解法:安定性と精度は別を説明する図

陽解法は現在までの既知量から次を求めます。陰解法は次の未知量も式に入るため、空間離散後は一般に連立方程式を解く必要があります。陰解法なら全て無条件安定、というわけではありません。例えば線形拡散の標準的な離散化では完全陰やクランク・ニコルソンに無条件安定性がありますが、安定でも大きな時間刻みで正確な過渡応答が得られるとは限りません。

具体例

クランク・ニコルソンは現在と次の平均を使う陰解法です。アダムス・バッシュフォースは現在と過去の値を使う陽解法です。

用語 7 · 第5章 格子生成法

構造格子と非構造格子

構造格子と非構造格子を説明する図

構造格子は、座席の「何行何列」のように規則的な添字で位置と隣を表せます。非構造格子は形状への自由度が高い一方、「どのセルとつながるか」を別に記憶します。 非構造格子でも、壁近くにプリズム層を設けるなど、境界層に適した配置はできます。「非構造なら最適」「非構造では境界層を解けない」のどちらにも決めつけません。

具体例

問5-1の解説と標準図で確認できます。

用語 8 · 第5章 格子生成法

直交格子法(デカルト格子)とカットセル・8分木

直交格子法(デカルト格子)とカットセル・8分木を説明する図

デカルト格子は座標軸に沿った格子です。曲線座標へ写さないので、その変換係数であるメトリックを保存・計算する負担を減らせます。間隔は等間隔とは限りません。 曲面を階段状に表すと形状に誤差が出ます。カットセルは曲面でセルを切って境界を表し、局所細分化は必要な所だけセルを小さくする方法です。直交性だけで全ての数値誤差が等方的になるわけではありません。

具体例

問5-2の解説と標準図で確認できます。

用語 9 · 第5章 格子生成法

格子生成法の分類(構造格子系・非構造格子系)

格子生成法の分類(構造格子系・非構造格子系)を説明する図

構造格子の生成法には代数的方法と微分方程式法があります。複雑形状はマルチブロックで分けたり、複数の格子を重ねたりして扱います。非構造格子ではデローニー・アドバンシングフロント・ボロノイなどを使います。ボロノイ領域は一般には多角形・多面体で、全て三角形になるわけではありません。

具体例

問5-3の解説と標準図で確認できます。

用語 10 · 第11章 計算力学技術者倫理

誤りの即時報告と訂正責任

誤りの即時報告と訂正責任を説明する図

提出済みの参考データでも、誤りは相手の判断に影響します。気づいたら誤りと影響が疑われる範囲を速やかに伝え、必要なら使用を控えてもらいます。その後、原因と再計算結果を示して訂正します。最初の連絡を再計算完了まで待たず、訂正履歴も残します。

具体例

誤り発見→速やかな連絡→原因・影響の確認→訂正結果の提出

用語 11 · 第11章 計算力学技術者倫理

説明責任と派遣業務の責任分界

説明責任と派遣業務の責任分界を説明する図

派遣元は技術者を雇用し、派遣先は業務を指示します。未達時には、指示、技術、作業条件を関係者で確認し、再発防止と技術向上へつなげます。指示命令を担う側があることと、本人や派遣元に責任がないことは同じではありません。具体的な責任は契約と各自の行為によります。

具体例

派遣元=雇用、派遣先=業務指示。原因分析は関係者で行います。

用語 12 · 第11章 計算力学技術者倫理

バックアップの範囲と使用PCの指定

バックアップの範囲と使用PCの指定を説明する図

バックアップは故障などに備える予備の複製です。認められた保管と、別PCでの追加使用は別問題です。問11-8は使用PCの登録が必要という契約条件で判断します。全ソフトが登録制という意味ではなく、移設や代替使用が認められるかは許諾条件を確認します。

具体例

バックアップを持つことと、別PCで使う権利は別です。

本ページはsafaによる独立した解説で、アプリ「CAE試験対策」の用語・公式・図を使用しています。日本機械学会による監修・公認を示すものではありません。