熱流体力学 / 1級 · 3つのテーマを一続きに
熱流体1級の乱流解析|SIMPLE法・渦粘性・壁近傍モデルを図解
主に単相流の3テーマを厳選。圧力と速度の連成、渦粘性モデル、壁近傍の扱いを、図と計算例で解説します。
非圧縮流れの連成と、乱流モデル・壁面処理の役割を説明できる。
STEP 1
SIMPLE法:圧力と速度を、つじつまが合うまで直す
非圧縮流れのセルで、入る流量と出る流量が一致していないとします。圧力だけ、速度だけを別々に決めると、不つり合いが残る場合があります。
仮の圧力で速度を予測し、質量保存のずれから圧力補正を求め、圧力と速度を修正する反復法です。圧力は、速度場が連続の式を満たすように調整されます。

式を、日本語で読む
順を追って考える
- 現在の圧力で運動量方程式を解き、予測速度を求めます。
- 流入と流出の不つり合いから圧力補正を求めます。
- 速度と圧力を補正し、両方の方程式の残差を見て繰り返します。
具体的な数字で確かめる
毎秒2g入って1.8gしか出なければ、毎秒0.2gの不つり合いです。定常・非圧縮で質量源がなければ、流束を整合させる必要があります。
STEP 2
渦粘性モデル:乱れの効果を、平均流れへ結び付ける
乱流の細かな動きをすべて直接追う代わりに、平均流れへの影響をモデル化します。乱れによる運動量輸送を表すのが渦粘性です。
kは乱流運動エネルギー、εは散逸率。標準k-εモデルでは二つの輸送方程式を解き、各点の渦粘性を求めます。分子の粘性と同じ定数ではありません。

式を、日本語で読む
順を追って考える
- kの単位はm²/s²、εはm²/s³です。
- k²/εはm²/sとなり、動粘性係数と同じ単位です。
- 標準モデルではCμ=0.09を掛けます。
具体的な数字で確かめる
k=0.1m²/s²、ε=0.01m²/s³ならνt=0.09×0.1²÷0.01=0.09m²/s。kを2倍、εを同じと仮定すれば式上のνtは4倍です。
STEP 3
壁近傍:壁へ近づくと、モデルの何が変わる?
壁のごく近くでは、乱れの成分が同じ割合では小さくなりません。壁からの距離yに対する変化を比べると、標準式をそのまま使えない理由が見えます。
滑らかなすべりなし壁の近くでは、乱流エネルギーkはy²、散逸εは有限値へ近づきます。この組合せだけのk²/εはy⁴に比例し、必要な渦粘性のy³とは異なります。

式を、日本語で読む
順を追って考える
- kが距離の2乗なら、k²は4乗になります。
- εが有限値なら、この割算だけでは4乗のままです。
- 低Reモデルでは壁近傍の漸近挙動に合うよう補正し、壁関数とは異なる扱いをします。
具体的な数字で確かめる
yを半分にしたとき、y⁴に比例する量は1/16、y³に比例する量は1/8です。壁へ近づくほど、両者の減り方の違いが効いてきます。
最後に、言葉で振り返る
次の3点を説明できれば、式の見方を整理できています。
- この式は、何を求めるために使うか。
- 各記号は何を表し、どんな単位を持つか。
- どんな条件では、この式をそのまま使えないか。
分からない点が残ったら、上の図・途中手順・適用条件へ戻ってみてください。
本記事はsafaによる独立した解説です。日本機械学会による監修・公認を示すものではありません。アプリの用語・図を土台に、式の読み方と計算例をWeb向けに構成しています。