公式 第4章 有限要素法の定式化

初期ひずみ・初期応力と等価節点力

$\boldsymbol\sigma=\mathbf D(\mathbf B\mathbf d-\boldsymbol\varepsilon_0)+\boldsymbol\sigma_0,\quad\mathbf K\mathbf d=\mathbf f_{\mathrm{ext}}+\int_V\mathbf B^T\mathbf D\boldsymbol\varepsilon_0\,dV-\int_V\mathbf B^T\boldsymbol\sigma_0\,dV$

意味・使いどころ

初期ひずみ $\boldsymbol\varepsilon_0$ は、温度上昇などによって材料が自由に変形できるなら生じるひずみとして与えます。変位から計算した全ひずみ $\mathbf B\mathbf d$ からこれを引いた分が、この構成式で応力を生む弾性ひずみです。例えば一様温度上昇の棒では $\varepsilon_0=\alpha\Delta T$ で、自由に伸びれば $\varepsilon=\varepsilon_0$、応力は0になります。初期応力 $\boldsymbol\sigma_0$ は、選んだ基準状態に既に存在するとして扱う応力です。これらを仮想仕事の式へ代入すると、内部節点力は $\mathbf K\mathbf d-\int\mathbf B^T\mathbf D\boldsymbol\varepsilon_0dV+\int\mathbf B^T\boldsymbol\sigma_0dV$ になります。外力との釣合いで右辺へ移すため、初期ひずみの寄与はプラス、初期応力の寄与はマイナスです。積分をプラスで定義する場合も、最終の右辺ではこの符号を区別します。等価節点力は、同じ仮想仕事を与えるように変換した荷重であり、必ずしも実際に外から加えた力ではありません。両端固定の加熱棒では、全ひずみが0なので圧縮応力が生じます。熱ひずみ荷重の方向と支持反力の方向は反対です。残留応力を扱う際は、初期応力が釣合っているか、基準状態や初期ひずみと整合しているかも確認します。この章の式は微小変形の線形定式化で、大変形の初期応力による幾何剛性までは含みません。

具体例

$E=200000\,\mathrm{N/mm^2}$、$A=100\,\mathrm{mm^2}$、$\alpha=12\times10^{-6}/\mathrm K$、$\Delta T=50\,\mathrm K$ なら $\varepsilon_0=0.0006$。棒の熱ひずみ荷重は $\mathbf f_{\mathrm{th}}=EA\varepsilon_0[-1,1]^T=[-12000,12000]^T\,\mathrm N$ です。両端固定では $\sigma=-E\varepsilon_0=-120\,\mathrm{MPa}$、支持が棒に与える反力は $[12000,-12000]^T\,\mathrm N$。固定せず右端を自由にした $L=500\,\mathrm{mm}$ の棒では、伸び0.3mm、応力0です。

初期ひずみ・初期応力と等価節点力の図解
図:初期ひずみ・初期応力と等価節点力(アプリ収録の図版)

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