全体剛性行列の性質とアセンブリ
意味・使いどころ
アセンブリは、要素ごとに計算した力と変位の関係を、物体全体の節点番号・自由度番号に対応させて足し合わせる操作です。$\mathbf A_e$ は全体変位から要素変位を取り出す対応行列で、$\mathbf d_e=\mathbf A_e\mathbf d$ と表します。隣り合う要素が同じ節点を共有すると、その節点の変位は共通で、節点力への寄与は加算されます。これによって、要素間の変位のつながりと節点での力の釣合いが同時に扱えます。通常の線形弾性の変位法では $\mathbf K$ は対称で、多くの成分が0の疎行列になります。節点番号を工夫すれば非ゼロ成分を対角近くに集められますが、帯の幅は番号付けに依存します。拘束前は剛体運動に対してひずみも力も出ないため、剛性行列は特異です。正しい一般表現は、剛体運動ベクトル $\mathbf r$ に対する $\mathbf K\mathbf r=\mathbf0$ です。1次元棒では $\mathbf r=[1,1,\ldots]^T$ なので行和が0ですが、あらゆる要素・自由度で無条件に行和0とは言えません。拘束後の縮約行列も通常は行和0ではありません。また、剛体運動以外にトラスの機構や積分不足による変形モードが残ると、支持を入れても特異になり得ます。メッシュを細かくすることと、必要な拘束や安定性を確保することは別の問題です。
具体例
節点0–1–2を同じ剛性 $k$ の2本のばねで結ぶと、拘束前の $\mathbf K=k\begin{bmatrix}1&-1&0\\-1&2&-1\\0&-1&1\end{bmatrix}$。節点0を固定し、節点2に $F=1000\,\mathrm N$、$k=10000\,\mathrm{N/mm}$ とすると、$2kd_1-kd_2=0$、$-kd_1+kd_2=F$。$d_1=0.1\,\mathrm{mm}$、$d_2=0.2\,\mathrm{mm}$ で、各ばねの伸びは0.1mmです。固定端反力は $-1000\,\mathrm N$。
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