要素剛性行列
意味・使いどころ
要素剛性行列 $\mathbf k_e$ は、その要素の節点変位と、要素が負担する節点力の関係を表します。初期ひずみや分布荷重などがない場合、$\mathbf f_e=\mathbf k_e\mathbf d_e$ です。式の順番は、$\mathbf B$ で節点変位をひずみに変換し、$\mathbf D$ で応力に変換し、$\mathbf B^T$ と体積積分で節点力に戻す、と読むことができます。転置の記号 $T$ は行と列を入れ替える操作です。2節点棒では $\mathbf B$ が一定、$D=E$、体積が $AL$ なので、積分の結果が $EA/L$ を係数とする2行2列の行列になります。対角成分は、その節点の変位が同じ節点の力に与える寄与、対角外の負の成分は隣の節点の変位による寄与です。線形弾性で $\mathbf D$ が対称なら $\mathbf k_e$ も対称になります。2次元の平面問題では体積積分を厚さ $t$ を用いて $\int_{A_e}\mathbf B^T\mathbf D\mathbf B\,t\,dA$ と書くため、厚さを忘れないことが重要です。拘束前の要素は剛体移動できるので、剛性行列には力を生まない変位があります。一般には $\mathbf k_e\mathbf r=\mathbf0$ で表す性質で、すべての要素について行成分の和が0と覚えるのは適切ではありません。回転自由度や局所座標を持つ要素では、剛体運動のベクトルを確認します。
具体例
$E=200000\,\mathrm{N/mm^2}$、$A=100\,\mathrm{mm^2}$、$L=500\,\mathrm{mm}$ なら $EA/L=40000\,\mathrm{N/mm}$。$\mathbf d_e=[0,0.1]^T\,\mathrm{mm}$ を掛けると $\mathbf f_e=[-4000,4000]^T\,\mathrm N$ です。左右の符号が反対なのは、棒を引張状態に保つ力が左右で逆向きだからです。$[0.1,0.1]^T$ なら変位差が0なので、節点力も0になります。
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