公式 第2章 固体力学の基礎

薄肉円筒:内圧で壁に生じる引張応力

$\sigma_{\theta}=\dfrac{pd}{2t}$

意味・使いどころ

圧力容器や配管の円筒壁には、内圧によって円周方向の引張応力が生じます。両端を閉じ、端板に作用する圧力の力を円筒壁が負担する場合は、軸方向の引張応力も生じます。前者が円周方向応力、後者が軸方向応力です。カードの式は、壁が直径に比べて十分薄い円筒の円周方向応力を求めます。pは内外の圧力差、dは内径、tは板厚です。薄肉の近似では内径と中央面の直径の差は小さくなりますが、問題で指定された直径の定義にそろえます。同じ圧力なら直径が大きいほど壁の応力は増え、板厚を二倍にすると半分になります。内圧pと壁の応力は同じ値ではありません。壁が薄いほど、小さな圧力でも大きな応力が生じます。両端が閉じ、ふたを押す圧力の力を円筒の壁が受け持つ場合、軸方向応力は $\sigma_a=pd/(4t)$ となり、円周方向応力の半分です。開いた管や、ふたの力を別の棒などが受け持つ構造に、この軸方向の式を無条件で使ってはいけません。応力は引張りでも、各方向のひずみは他方向の応力による縮みを受けます。均一な等方弾性材なら円周方向ひずみは $\varepsilon_{\theta}=(\sigma_{\theta}-\nu\sigma_a)/E$、軸方向ひずみは $\varepsilon_a=(\sigma_a-\nu\sigma_{\theta})/E$ です。体積の増加割合は小変形なら円周方向ひずみの二倍と軸方向ひずみの和で求めます。厚い壁、ふた付近、穴や溶接などの局所部分では、応力の分布を別に検討する必要があります。

具体例

閉じた薄肉円筒で $p=1\,\mathrm{MPa}$、$d=200\,\mathrm{mm}$、$t=2\,\mathrm{mm}$ とします。①円周方向は $1\times200/(2\times2)=50\,\mathrm{MPa}$。②軸方向は25 MPa。③ $E=200000\,\mathrm{MPa}$、$\nu=0.30$ なら、$\varepsilon_{\theta}=(50-0.30\times25)/200000=0.0002125$、$\varepsilon_a=(25-0.30\times50)/200000=0.00005$。④体積増加割合は $2\times0.0002125+0.00005=0.000475$、つまり0.0475%です。

薄肉円筒:内圧で壁に生じる引張応力の図解
図:薄肉円筒:内圧で壁に生じる引張応力(アプリ収録の図版)

公式を覚えたら、問題と用語で定着

用語集・無料サンプル問題10問もどうぞ。続きはアプリ「CAE試験対策」で。

本アプリは非公式・非提携の独立した学習アプリです(日本機械学会(JSME)・計算力学技術者認定試験とは無関係)。説明・具体例はすべて独自作成です。
公式集の一覧へ戻る