断面の形:断面二次モーメントIと断面係数Z
意味・使いどころ
長方形断面の部材は、断面を90°回転させると、同じ材質・同じ断面積でも曲げ剛性が変わります。曲げに対する抵抗は、断面積の大きさだけでなく、曲げ軸から材料がどのように配置されているかで決まります。この曲げに関わる材料の配置を数値にしたものが、断面二次モーメントIです。式のzは、曲げの基準となる中立軸からの距離です。中立軸は、曲げによる伸びと縮みの境目になる位置を表します。均一な材料の単純な弾性曲げでは、断面の中心である図心を通ります。dAは微小な面積要素です。各要素の面積に軸からの距離の二乗を掛け、その寄与を断面全体にわたって積分します。それぞれの面積に距離の二乗を掛けて足すため、軸から遠い場所の材料ほど大きく効きます。幅b、高さhの長方形で、幅に平行な図心軸については $I=bh^3/12$ です。高さは三乗なので、同じ幅で高さを二倍にするとIは八倍になります。I型断面が上下に材料を多く配置するのも、この効果を利用しています。曲げ応力を求めるときは、Iを中立軸から評価する外縁までの距離cで割った $Z=I/c$ を使います。これが断面係数です。Iの単位はmmの四乗、Zはmmの三乗で、断面積Aのmmの二乗とは異なります。IもZも材料の値ではなく、形と曲げる軸で決まります。上下が非対称の断面では、上端までと下端までの距離が違うため、Zも上下で別々です。断面の中心から外れた軸について計算する場合は、図心軸のIに面積と軸間距離の二乗の積を加える平行軸の関係を使います。 断面の外縁の曲げ応力の大きさは $\sigma_{\max}=|M|/Z$ で求めます。Mが大きいほど、Zが小さいほど大きな応力になります。これは均一な材料の単純な弾性曲げの式で、穴などの局所的な応力集中は別に扱います。
具体例
幅20 mm、高さ40 mmの長方形を、幅に平行な図心軸で曲げます。① $I=20\times40^3/12\approx106667\,\mathrm{mm^4}$。② $c=40/2=20\,\mathrm{mm}$ なので、$Z=106667/20\approx5333\,\mathrm{mm^3}$。③90°回して幅40、高さ20にすると $I\approx26667\,\mathrm{mm^4}$ で、元の1/4です。面積はどちらも800 mm²ですが、同じ曲げモーメントでの曲がりにくさは異なります。別の平行な軸まで距離aなら $I_{\mathrm{new}}=I_{\mathrm{centroid}}+Aa^2$ です。 ④ $|M|=100000\,\mathrm{N\,mm}$ なら、元の向きの外縁応力は $100000/5333.3=18.75\,\mathrm{MPa}$ です。
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