最小ポテンシャルエネルギー原理
意味
ひずみエネルギー $U$ は変形によって材料に蓄えられるエネルギーです。方向と大きさが変形によらない外力を考えると、外力のポテンシャルは $-W$ であり、全ポテンシャルエネルギーは $\Pi=U-W$ と表せます。ここで最小を探す対象は、指定された変位境界条件を満たす変位だけです。候補の変位をわずかに変えても $\Pi$ の1次の変化が0になる条件が $\delta\Pi=0$、すなわち停留条件です。線形弾性では $U=\tfrac12\mathbf d^T\mathbf K\mathbf d$、一定節点荷重の $W=\mathbf d^T\mathbf f$ を代入し、未知の節点変位で微分すると $\mathbf K\mathbf d-\mathbf f=\mathbf0$ が得られます。したがって、連立方程式はエネルギーの釣合いからも導けます。ただし「停留」と「最小」は同じ言葉ではありません。安定な線形弾性体で、剛体運動や機構を除く拘束があり、自由変位に対する剛性が正定値なら、この停留点は一意の最小です。座屈などを含む問題では安定性を別に確認する必要があります。また、外力にポテンシャルを定義できることが前提で、任意の非保存力を含む問題にそのまま適用するものではありません。仮想仕事は釣合いを仕事の等式で表し、この原理はその条件をエネルギーの停留として表します。
具体例
$k=10000\,\mathrm{N/mm}$ のばねに $F=2000\,\mathrm N$ を作用させると、$\Pi(d)=\tfrac12kd^2-Fd$ です。$d\Pi/dd=kd-F=0$ より $d=0.2\,\mathrm{mm}$。2階微分は $k>0$ なので最小です。このとき $U=200\,\mathrm{N\,mm}$、$W=400\,\mathrm{N\,mm}$、$\Pi=-200\,\mathrm{N\,mm}$。$W$ は最終荷重のポテンシャルに用いる量で、荷重を0から徐々に増やしたときの実際の外力仕事 $\tfrac12Fd$ とは区別します。
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